6月10日は「路面電車の日」です。1995年(平成7年)に広島市で開かれた第2回路面電車サミットで、路面の6(ロ)、電車の10(テン->デン)の語呂合わせで、6月10日が路面電車の日に制定されました。
過去に遡れば、路面電車は北海道から沖縄まで日本中のあちこちで走っていましたが、昭和40年代の急速なモータリゼーションの進展で、バスや自動車、地下鉄への転換が進み、路面電車の廃止が相次ぎ、その姿は少なくなりました。
しかし、衰退するばかりではありません。2023年春には、日本で初となる新設LRT(次世代型路面電車)の「宇都宮ライトレール」が開業予定です。
■2023年開業予定の芳賀・宇都宮ライトレール
新型車両HU300形電車 ライトライン
先にLRTを導入した富山地方鉄道は地方路線の活性化につながる成功例です。もともとは利用客の落ち込んだJR西日本の富山港線を2006年に富山ライトレールとして転換、バスに近い形で停留場と運行本数を増やし、利用者が増加しました。2020年、富山ライトレールは富山地方鉄道と合併し軌道線との南北直通運行が実現、以前より利便性が向上しています。
現在、環境負荷が小さい交通手段で中心市街地を活性化し、高齢者や障がい者など移動困難者の利便性を確保するため、人と環境に優しい交通システムとして、国土交通省がLRTの導入を推進。上下分離方式での運行など、国が総合的に支援、官民の負担・分担を軽減する仕組みについて、各地で議論が重ねられています。
2021年現在、富山地方鉄道のLRTを含め、全国では18箇所で路面電車が活躍しています。それでは、北から南までさまざまなバリエーションで活躍する路面電車を順番に紹介します。
■札幌市交通局
最も北を走る札幌市電 3300形電車
■函館市企業局交通部
レトロな街並みを行く函館市電 500形電車
■東京都交通局
東京の昔ながらの懐かしい街並みをはしる荒川線「さくらトラム」都電9000形電車
■東急電鉄
世田谷東部を縦断する地域密着の世田谷線 東急300系電車
■富山地方鉄道
南北直通運行が開始された軌道線・富山地鉄0600形電車
■豊橋鉄道
東海地方唯一の路面電車 市内線「ほっとラム」T1000形電車
■福井鉄道
北陸新幹線の新駅と同名となり改称が決まった「越前武生駅」が起点の福武線 F1000形電車
■京福電気鉄道
古都 京都の風光明媚な嵐山本線 北野線を走る 嵐電 京福モボ611・621・631形電車
■阪堺電気軌道
阪堺線 上町線を走る阪堺初の超低床車両「堺トラム」1001形電車
■岡山電気軌道
チャギントンの「ウィルソン」と「ブースター」が仲良く連結して東山本線 清輝橋線を走行 「おかでんチャギントン電車」9200形電車
■広島電鉄
過去にさまざまな都市で活躍した車両が多く在籍、原爆ドームなどの市内線を走行 広電1000形電車
■とさでん交通
日本最古と言われる路面電車、外国製の車両も多い 伊野線 桟橋線 後免線 2000形電車
■伊予鉄道
有名な「道後温泉」のある愛媛県松山市の市内線を走る モハ5000形電車
■長崎電気軌道
山と海に囲まれたノスタルジックな長崎市内を走る市内電車 5000形電車
■熊本市交通局
熊本城のお膝元を走る熊本市電 0800形電車
■鹿児島交通局
日本最南端で運行する路面電車 鹿児島市電7500形電車
今回、各鉄道事業者の一部の車両を紹介しましたが、まだまだ他にもたくさんの種類の車両が運行しています。市街地を縫うように走るので、街の様子によってもさまざまな顔を見せてくれる路面電車はどこか親近感が湧く車両ではないでしょうか。