23年前の1998年6月13日、近江鉄道700形電車「あかね号」がデビューしました。700形は、元西武401系電車2両を改造した多目的車両です。近江鉄道開業100周年と八日市駅新駅舎完成記念に合わせて運行を開始しました。
「あかね号」という愛称は、万葉歌で額田王(ぬかたのおおきみ)が詠んだ「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」に由来します。この歌が詠まれたのは蒲生野という現在の滋賀県東近江市で、万葉歌碑が近江鉄道八日市線市辺駅の北にある「万葉の森 船岡山」にあります。また、八日市線はこれに因んで「万葉あかね線」の愛称が付けられています。
車両は、クリームを基調とし、赤と青のラインが側面に塗装されました。先頭が流線形、大きな展望窓を備えた「特急電車」風のザインで、座席は横長タイプのロングシートではなく、進行方向に並んで座ることのできる転換式クロスシートが設置されました。
デビューから21年後の2019年5月6日(月)、700形「あかね号」は車両の老朽化が進んでいることを理由に、現役を引退しました。
700形が引退した翌日の5月7日(火)、900形電車901編成が2代目「あかね号」を引き継ぎました。塗装も初代を継承した姿で現在も蒲生野の地で運行しています。