16年前の2005年6月27日、和歌山電鐵が誕生しました。岡山電気軌道(岡電)の子会社両備グループとして設立、元は南海電鉄の貴志川線を引き継ぎ、2006年4月1日に営業運転を開始しました。「日本一心豊かなローカル線になりたい!」をキャッチフレーズに、民鉄初の猫駅長の就任や個性あふれるデザイン列車の運行など「知ってもらう・乗ってもらう・住んでもらう」のキーワードで地域と一体となった取り組みを実施しています。
2007年に貴志駅で初代ねこ駅長として「たま」が就任して以来、猫が出迎えてくれる鉄道としても有名です。2015年からは2代目「ニタマ」が「たまII世駅長」として就任、2021年1月現在「ウルトラ駅長」に昇進しています。また、2018年1月には「よんたま」が伊太祈曽駅の「駅長」として活躍しています。
和歌山電鐵が運行する路線は、和歌山市の和歌山駅から紀の川市の貴志駅までを結ぶ営業距離14.3キロメートル(km)・14駅の貴志川線です。車両は南海電鉄から譲渡された2270形電車を使用しています。このうち4両が両備グループのデザイン顧問でもある、水戸岡鋭治氏がデザインを担当したリニューアルデザイン列車として活躍しています。この一風変わった可愛い4種の車両を紹介します!
■いちご電車 2271F
2006年8月6日、和歌山電鐵初めてのリニューアルデザイン列車「いちご電車」が登場しました。貴志駅周辺の特産「イチゴ」をモチーフに、ホワイトのボディーに赤いドアやロゴマークがアクセントのお洒落な電車です。また、車内には床、ベンチ、サービスカウンター、テーブル、吊り手などに自然木をふんだんに利用した心地よい車内となっています。
■おもちゃ電車(おもでん) 2276F
2007年7月29日にデビューした「おもちゃ電車」愛称「おもでん」・「OMO」です。真っ赤なボディーの車体にはカラフルな「おもでん」のロゴが。車内には、ショーケースにおもちゃがディスプレイされ、ベビーベットや木馬も。目を引くのは壁に張り付いた「ガチャガチャ」です。まさしく「おもちゃ」の名に相応しい電車です。
■たま電車(たまでん) 2275F
2009年3月21日、スーパー駅長として就任した日本を代表する働く猫「たま駅長」がモデルとなった「たま電車」がデビューしました。車両には101匹のたま駅長が走ったり寝転んだりするたくさんの「たま」が描かれています。また、リニューアルの費用は国内外から寄せられた「たま電車サポーター」の支援や寄付などでまかなわれました。
■うめ星電車 2273F
2016年6月4日、リニューアルデザイン列車第4弾として、紀州・和歌山の世界一の梅「南高梅」(なんこううめ)からできる梅干しをモチーフにした「うめ星電車」がデビューしました。赤紫色が鮮やかに輝くメタリックのボディに、梅柄の座席や窓の障子和紙、木張りの天井など、伝統的な組子を使った車内は木の香りが心地よい和のテイストあふれる列車です。
外装・内装ともに、趣の違う個性あふれる4車両はとても魅力的で全種に乗車してみたくなります。また2021年度冬季に、サポーターから改装費用の支援を募集し、新車両の「たま電車ミュージアム号」の運行開始を目指しています。
鉄道ファンやたまファン、沿線住民と一体となって運行している「和歌山電鐵」。みなさんも「日本一心豊かなローカル線」を目標にする貴志川線に乗車してみてはいかがでしょうか。