今から45年前の1976年(昭和51年)7月9日、大井川鐵道大井川本線でSL急行「かわね路号」がデビューしました。同社のSL運行は年間300日以上で、走行日数・総走行キロや現役運行両数も日本一です。
「かわね路号」は大井川鐵道が大井川本線新金谷駅〜千頭駅間で運行する蒸気機関車(SL)牽引による急行列車の総称です。2021年7月1日(木)現在、「C11形227号機」、「C11形190号機」、 「C56形44号機」 、「C10形8号機」の4機が現役で活躍しています。製造から約80年以上を経過してもなお、大井川沿いののどかな風景の中を走る魅力ある4機を紹介します。
■トーマスで大人気 C11形227号機(C11 227)
1942(昭和17)年9月に日本車輌で製造され、国鉄時代は主に北海道で活躍、1975(昭和50)年に大井川鐵道へ入線し「かわね路号」の運行開始から活躍し続ける大鉄の看板機関車です。6月から10月までは人気番組の「きかんしゃトーマス号」として運行しています。■緑色のプレートが目印 C11形190号機(C11 190)
1940(昭和15)年10月に川崎車両で製造、緑色のプレートが目印のSLです。国鉄時代は本州から九州で幅広く活躍し1974(昭和49)年に熊本で廃車となりました。その後静態保存されていた同機は2001年に大鉄へ入線、約2年の改修を経て2003年7月にデビューしました。■戦時中はタイへ赴いた C56形44号機(C56 44)
1936(昭和11)年3月に三菱重工業で製造され、国鉄時代は札幌近郊で活躍しました。第二次世界大戦中の1942年から戦時輸送のためタイへ送られました。1979年(昭和54年)、戦火を潜り抜けた強運の同機は再び日本へ帰国。同年6月に大鉄へ入線し2011年より運行を開始した貴重な経歴を持つ車両です。2015年には真っ赤なボディの「きかんしゃジェームス号」としても運行していました。■製造から90年を超える C10形8号機(C10 8)
1930(昭和5)年7月に川崎車両で製造された大鉄最古の車両です。主に東北地方で活躍、国鉄で廃車後の1961年(昭和36年)に岩手県宮古市にあるラサ工業へ入籍しました。その後宮古市の観光列車「SLしおかぜ号」として運行したのち1994年に大鉄へ入線、1997年10月に運行を開始しました。さまざまな経歴を持つ大鉄「かわね路号」の蒸気機関車たち。もちろん、牽引するSLだけでなくレトロな客車や名物専務車掌の案内などまだまだ魅力はあります。歴史を紐解きながら乗車するもよし、また、これからの夏休みシーズン、こどもたちと一緒に乗車したりと、それぞれの楽しみ方を探しに訪れてみてはいかがでしょうか。