この美しい織物の製作工程、何を作っているかわかりますか?
これは、2021年8月から運行を開始した東京メトロ半蔵門線の新型車両「18000系」の座席シートを製作している様子です。
18000系のコンセプトは「伝統と新しさが交じり合う街に更なる活力を」です。渋谷から押上まで、東京の歴史と伝統を感じる街を結ぶ半蔵門線。車内にも車体同様、半蔵門線のラインカラー「パープル(紫)」を基調に床から座席、つり革までグラデーションで彩られています。一際目を引く美しい座席シートを制作したのは、京都の老舗美術織物企業「龍村美術織物」です。そして驚くなかれ、これまで新幹線をはじめとする鉄道車両・航空機用のシートファブリックから、カーテン、カーペット、ネットなどのあらゆる内装地のデザイン企画、設計・製造を行っています。
■東京メトロ 18000系電車・座席シート地
■JAL・ANAの航空機内のファブリックも手がけています
「龍村美術織物」は京都市右京区にある美術織物の製造および販売を行う企業です。1894年の創業以来、奈良・東大寺の正倉に納められている染織品「正倉院裂」などの名物裂の復元や皇室の表紙裂などを手がけています。また、枠にとらわれない美的感覚から生まれるバッグや、茶道具、雑貨など、さまざまなアイテムなどを製作・販売しています。
日本の伝統を大切にし、これまで培った技法を鉄道車両にも生かしている「龍村美術織物」。今回公開された18000系も合わせて、これまで手がけた内装ファブリックを装備した車両をご紹介します。
■JR東海 N700S系新幹線・グリーン車 座席シート地、カーテン、カーペット
■JR東日本 E353系電車 特急あずさ・グリーン車 座席シート地、カーテン、カーペット
■JR北海道 H5系新幹線・グリーン車シート地、カーペット、カーテン
(JR東日本E5系新幹線 グリーン車シート地)■京王電鉄 5000系電車・座席シート地
■東武鉄道 70000系電車・座席シート地
■小田急電鉄 5000形電車(2代)・座席シート地
■東急電鉄 2020系電車・座席シート地
新型車両以外にも、リニューアル車など、全国各地の車両で「龍村美術織物」の内装に触れることができます。みなさんがいつも乗車している車両にも採用されているかもしれません。いつもの電車移動で、日本の伝統文化に触れることができると思うと、通勤・通学時間も気分が上がるかもしれませんね。