1992年3月14日、東海道新幹線で「のぞみ」が華々しくデビューしました。使用車両はJR東海300系新幹線電車。これまでの0系、100系新幹線とは大きく異なるスタイリッシュなフォルムは斬新で脚光を浴びました。のぞみは、航空機に対抗するため、最高時速270km/hで、東京～新大阪間の所要時間を2時間30分と、ひかりに比べ約20分ほど時間を短縮しました。「のぞみ」の運行開始から30年、時代とともに車両も新たな進化を遂げ、2020年7月には技術の粋を結集した「N700S」が登場しました。デビューから現在までの歴代「のぞみ」車両を写真とともに紹介します。
【歴代のぞみコレクション】
■300系新幹線電車
1992年3月デビュー、JR東海とJR西日本で70編成1,120両が製造されました。0系・100系とは一線を画す先頭形状は、まさにスピード感を感じさせてくれる近未来型車両でした。2012年3月、初代「のぞみ」は、約20年の歴史に幕を閉じました。
■500系新幹線電車
1997年3月にデビューしたJR西日本500系新幹線。9編成144両が製造されました。デザインはドイツの工業デザイナー アレクサンダー・ノイマイスター氏が手がけたこともあり、今までの雰囲気とは大きく異なる車両の登場は話題を呼びました。300km/hでの営業運転を実現するため、先頭部分の形状は長く尖り戦闘機のような見た目に、車体全体は緩やかな円形です。2010年2月まで東海道新幹線で活躍し、現在は山陽新幹線内で「こだま」として運行しています。
■700系新幹線電車
1999年3月デビュー、JR東海とJR西日本で91編成1,328両が製造されました。最高速度は285km/h、トンネル微気圧波対策のため、先頭は平たく、見た目はカモノハシのような形状が特徴的でした。現在、東海道山陽新幹線で活躍する923形新幹線電車「ドクターイエロー」も、この700系がベースとなっています。2019年12月に「こだま」としての運行を最後に、東海道新幹線での定期運行を終了、現在は山陽新幹線で運行しています。
■N700(N700A)系新幹線電車
2007年7月にデビューした新幹線です。2013年に改良型となるN700Aも加わり、JR東海・JR西日本・JR九州で202編成2,992両が製造されました。700系をベースに快適性や環境性などが大きくグレードアップしています。最高速度は500系新幹線と同等の300km/hを誇ります。改良型のN700Aは、中央締結ブレーキディスク、台車振動検知システムや定速走行装置を搭載、安全性と信頼性をさらに向上させた車両です。
■N700S新幹線電車
2020年7月1日に営業運転を開始した最新の新幹線です。JR東海・JR西日本そして2023年9月に開業予定の西九州新幹線でも採用されるN700Sは、N700系から約13年ぶりのフルモデルチェンジです。「Supreme」(スプリーム)をコンセプトとし、安全性、安定性、快適性、環境性能などすべての面で最高の車両であるとの意味が込められています。高速鉄道では世界初となる大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載。停電時等の不測の事態でも、最低限の自力走行が可能です。2022年2月現在、28編成が導入されています。
30周年を迎えた「のぞみ」、3月12日のダイヤ改正では、早朝・夜間帯の30本が速達化。これにより東京～新大阪間の所要時間が最大6分短縮され、定期の「のぞみ」東京～新大阪間の平均所要時間が1分短縮されます。「のぞみ」の進化はこれからもまだまだ止まりません。
