JR東海は2023年10月20日から、東海道・山陽新幹線で「S WorkPシート」のサービス提供を開始しました。東京駅〜博多駅間の、“のぞみ”、“ひかり”、“こだま”が対象で、東海道新幹線内では全列車で利用することができます。
これまで「S Work車両」としてビジネス向けに提供されていた7号車。このうち、6列目から10列目までの3人掛け座席の中央B席を廃止し、A席とC席のみ計10席を「S WorkPシート」として販売。普通車指定席料金に、1,200円を加算した金額で利用できます。
中央B席にパーティションが設置され、A席とC席で中央B席のスペースを折半するため、1人で1.5席を使用可能。グリーン席さながらのパーソナルスペースを占有できます。また、それぞれにカップホルダーや小物置きのスペースも確保されており、手元に飲み物や携帯電話、PCやお弁当などを置くことができます。実際に、肘掛けを上げてみるとグリーン席を超える横幅空間を体感することができました。
テーブルも改良が加えられています。廃止されたB席のテーブルが従来通りですが、A席とC席では新しいものに付け替えられており、分厚くなり安定感が増しています。また、手元にスライドさせる最後の段階で傾斜をつけ、PCのキーボード操作がしやすくなりました。進行方向の転換を考慮し、5列目と11列目のA席・C席も新しいテーブルが備え付けられています。(例:新大阪発東京方面では4列目のA席・C席、東京発新大阪方面では12列目のA席・C席に着席しても同テーブルの使用が可能)
「S WorkPシート」を含む、7号車「S Work車両」全席では、モバイル端末の操作がしやすいようリクライニングの角度が従来よりも浅く設定されています。さらに、気兼ねなくモバイル端末を利用できるよう、7号車の利用客には、Webミーティングや携帯電話での通話、PCキーボード操作音などの最低限の作業音は“お互い様”として許容を求めています。実際に、席に座りながら携帯電話で通話する乗客や、Webミーティングを行う乗客の姿が見られました。また、N700Sの編成では、7号車と8号車だけの専用Wi-Fi「S Wi-Fi for Biz」を提供。通信容量は、他の号車やN700Aで提供されている「Shinkansen Free Wi-Fi」の約2倍です。
東海道・山陽新幹線の3号車・10号車・15号車に設置されている喫煙ルームは、2024年春をもって廃止されます。7号車の喫煙ルームはすでに閉鎖されていますが、N700Sではこのスペースを「ビジネスブース」として、周囲を気にせず、打ち合わせや電話、Webミーティングを行うことができます。室内には、テーブル、ハイチェア、コンセントを整備。乗車後に予約を行い、0~30分間の利用時間で10分あたり200円、30~60分間の利用時間で10分あたり300円で利用可能。順次改修を進め、2024年度中に全てのN700Sで整備が完了する予定です。「ビジネスブース」が設置済みの編成は、当日に限りJR東海のホームページで確認することができます。
「S Work車両」のリニューアルに合わせ、専用のロゴマークを7号車の左右乗降口(計4か所)の車両側面、および客室・デッキ間の扉に貼り付け。7号車が「S Work車両」であることを、わかりやすく表示しています。ロゴマークが掲出されている車両は、順次運行を開始しています。
「S WorkPシート」の利用は、現時点ではEXサービス(エクスプレス予約・スマートEX)での発券のみ対象です。2024年春ごろからは、駅窓口や券売機などでも販売が開始されます。予約方法は、EXサービスの予約画面から“EX予約 S WorkPシート[A席/C席]”を選択。その後、座席を選択する場合は、座席表から希望の座席を選びます。乗車日の28日前(5:30)から、時刻表に表示の列車発車時刻4分前まで発売します。
取材時の混雑状況は、平日はのぞみ号を中心に概ね満席、土休日は空席が多い状況でした。特にA席の窓側では、よりプライバシー性の高いパーソナルスペースを確保できるため、人気を博しています。動くシェアオフィスとして、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。