国土交通省は2024年2月8日、城端線・氷見線鉄道事業再構築実施計画について、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律第24条第2項により申請どおり認定したと発表しました。現在、第一種鉄道事業者としてJR西日本が運行する両路線は、今後、あいの風とやま鉄道が引き継ぐこととなります。
これは、昨年12月に富山県、高岡市、氷見市、砺波市、南砺市、JR西日本、あいの風とやま鉄道から申請があったもの。申請者らで構成される「城端線・氷見線再構築検討会」において、地域の将来像の中でどのような地域公共交通が必要なのか、検討が進められてきました。
両路線はいずれも単線非電化区間で、現在もキハ40系が運用され、鉄道ファンなどに人気です。しかし、利用者数は年々減少傾向で、昭和のピーク時と比較して2022年時点では、ほぼ半分まで落ち込んでいます。
今回、国交相からの認定を受け、事業変更の計画期間を2024年2月15日から2034年3月31日の10年間と設定。計画開始から概ね5年後を目途に、にあいの風とやま鉄道へ事業譲渡することになります。事業譲渡前には、新型車両の導入や交通系ICカードへの対応、譲渡後の増便やパターンダイヤ化に向けた改良等を行うほか、譲渡後には高岡駅において両線の直通運転を行うための駅改良等を実施予定。事業費は総額で341.2億円で、社会資本整備総合交付金を活用予定とのことです。
また、鉄道施設等の更新、整備、修繕に要する経費は、県、沿線4市(高岡市、氷見市、砺波市、南砺市)、JR西日本が負担します。また、県及び沿線4市があいの風とやま鉄道に出資を行うとともに、「城端線・氷見線経営安定基金(仮称)」を設置し、あいの風とやま鉄道の経営安定を図るための支援を行います。
あいの風とやま鉄道へ移管後は、安全かつ円滑な運行を行うため、JR西日本が運転士や施設、電気、車両など技術系の要員を確保。さらに鉄道施設整備費の一部などに充当する資金として150億円を拠出します。
計画では、高岡駅を中心に東西南北を結ぶ鉄道路線が同一の運行主体となることから、富山県西部の交通ネットワークが強化されるとし、利用者数の増加が見込まれることから現在10.86億円の赤字(2022年度)額が7.06億円の赤字まで縮小されると試算しています。