パナソニック、市村産業賞功績受賞 交通系ICカード内蔵のチップ開発で

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第51回市村産業賞功績賞受賞者

©Panasonic Corporation

大手電機メーカーのパナソニックは2019年4月16日(火)、第51回市村産業賞の功績賞を同社技術者が受賞したと発表しました。パナソニック関係者の受賞は、4年ぶり20回目です。

市村産業賞は、リコー三愛グループ各社を統轄した創業者、故・市村清氏が1963(昭和38)年4月29日に紺綬褒章を受賞した記念に創設された市村賞のひとつです。日本の科学技術の進歩、産業の発展に顕著な成果をあげ、産業分野の進展に多大な貢献、功績のあった技術開発者に贈られています。今回の受賞者は、パナソニック セミコンダクターソリューションズの三河巧さん、吾妻正道さん、パナソニック・タワージャズ セミコンダクターの長野能久さんです。

受賞したテーマは、「交通系ICカードに幅広く普及した低消費電力強誘電体メモリの開発と実用化」で、SBT系FeRAMの開発を手がけたことが評価されました。従来のフラッシュメモリ技術に比べ低電圧で動作し、微細構造の新型「不揮発性メモリFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)」の事業化に成功しています。さらに、「完全水素バリア被覆構造」という手法で、強誘電体キャパシタの上下左右をすべて被覆し、微細化の最大の課題であった水素による強誘電体酸化物材料の還元を可能にしました。

この技術を用い、松下電器産業(現・パナソニック)が2000年から製造・販売を開始したものが「低消費電力強誘電体メモリ」です。この製品は、Suicaをはじめとする交通系ICカードのほか、デジタルカメラなどの電池認証タグ、家電・AV用NFCタグなどに採用されています。

交通系ICカードの分野では、改札機にタッチした際、FeRAM搭載チップを内蔵したICカードの処理がスムーズに動作します。使用者は改札ゲートを瞬間的に通過でき、複雑な乗り換えを必要とする日本国内の交通系ICカードのコア半導体として広く普及し、かつ有効範囲が広く、処理速度が速い特長を活かしています。

期日: 2019/04/17から

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