日本全国に張り巡らされた鉄道路線では、日々多くの列車が走行しています。鉄道各社は路線上の架線など鉄道設備の消耗状況や建築限界、地上設備の測定を軌道総合試験車(検測車)と呼ばれる事業用車両を用いて点検を行っています。日本一の鉄道網を持つJR東日本には、3種の検測車 通称「East i(イーストアイ)」が在籍しています。今回はJR東の“お医者さん”として活躍する「East i」を紹介します。
■「East i(イーストアイ)」について
East iは、①East i(イーストアイ) ②East i-E(イーストアイダッシュ・イー) ③East i-D(イーストアイ ダッシュ・ディー)の全部で3種類です。路線の軌間(レール幅)や、電化の有無に応じ、それぞれの車両を使い分けています。
①East i(イーストアイ):926形 S51編成
東北・上越・北陸新幹線および、秋田・山形のミニ新幹線区間で活躍します。有名なところでは東海道・山陽新幹線で活躍する「ドクターイエロー 923形」と同じように新幹線専用の電気・軌道総合試験車(検測車)です。2001年10月から投入された車両は6両1編成で宮城県 新幹線総合車両センターに在籍しています。JR東日本管内だけでなく、北海道新幹線やJR西日本区間の北陸新幹線内も担当します。
②East i-E(イーストアイダッシュ・イー):E491系
在来線 交直流電化区間用の電気・軌道総合試験車(検測車)です。2002年3月に導入され、3両1編成が茨城県 勝田車両センターに在籍しています。建築限界を検測する場合は「マヤ50 5001」を連結し4両編成で運行することもあります。運行区間はJR東日本だけでなく、青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道・仙台空港鉄道・阿武隈急行・富士急行・伊豆急行・北越急行・しなの鉄道・えちごトキめき鉄道など、直通運転を実施する近隣の鉄道会社線内でも検測を行います。
③East i-D(イーストアイ ダッシュ・ディー):キヤE193系
主に在来線 非電化区間で検査を行う軌道総合試験車(検測車)です。2002年7月に導入された3両1編成で、秋田車両センター南秋田センターに所属しています。「East i-E」同様に、建築限界を検測する場合は「マヤ50 5001」を連結し4両編成で運行します。JR北海道や会津鉄道、真岡鐵道、わたらせ渓谷鐵道、鹿島臨海鉄道、山形鉄道フラワー、京葉臨海鉄道、えちごトキめき鉄道(日本海ひすいライン)など、JR東日本の近隣の鉄道会社線内でも作業を行います。
以上3つのイーストアイを紹介しました。いずれも1編成ずつ計3編成のみの激レア車両、公に運行ダイヤを公表していないため、見かけたらとてもラッキーです。JR東日本の“お医者さん”は、今日も各地で、不具合がないか見極めながら、列車の安全運行を陰で支えています。