北海道初のワンマン電車 737系 深掘り!飛行機にも同型式が…「二刀流」旅も?

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“陸”の「737」 JR北海道 737系

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「737」と聞くと、JR北海道が2023年5月20日から運行を開始した、新型通勤形電車737系を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

JR北海道737系は、これまでキハ143形気動車やH100形気動車が使用されていた路線へ投入。室蘭本線 苫小牧〜東室蘭間、室蘭支線 室蘭〜東室蘭間で主に運用されるほか、1日1往復のみ千歳線へ乗り入れ、札幌まで運行されています。今回の737系投入により、苫小牧〜室蘭間の気動車列車66本のうち約8割が電車での運転に。電車化により走行性能が向上し、所要時間が平均9分(最大17分)短縮されるほか、東室蘭や苫小牧では新たに接続が増えます。

また、同社初のワンマン通勤形列車で、2両(1M1T)1編成を基本として最大6両まで併結が可能。7月現在、13編成26両が投入される予定で、すでに7編成14両が運用されています。

車体は、先頭部が鋼鉄製で、黒色をベースにJR北海道カラーのライトグリーンと警戒色の黄色をデザイン。側面はアルミ合金製で、優しさ・親しみやすさ・明るさ・若々しさから「さくらいろ」をイメージした淡いピンク色で塗装されています。

ニュース画像 1枚目:JR北海道の新型通勤形電車「737」系
JR北海道の新型通勤形電車「737」系

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車内には、車椅子に対応した大型トイレや、フリースペースを設置。ロングシート化により、キハ143形気動車に比べて96席から93席と座席数は減りましたが、低床化や床面積の増加により立ち客を含めた定員自体は増加しています。車体側面と同じ、淡いピンク色がドア周辺にも配色され、落ち着きのある車内空間を演出しています。

ニュース画像 2枚目:JR北海道の新型通勤形電車「737」系 車内
JR北海道の新型通勤形電車「737」系 車内

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そんな“陸”を代表するJR北海道の「737」系以外にも、“空”にも「737」という型式のベストセラー機があるのをご存知でしょうか。

“空”の「737」は、アメリカ・ボーイング社が製造する航空機の型式です。日本では、全日本空輸(ANA)が1969年から導入を開始。以後、改良が進み、現在日本の空で活躍する「737」は、最新型のボーイング737-700/-800型機となっています。世界的にもベストセラーの航空機で、ANAや日本航空(JAL)、日本トランスオーシャン航空(JTA)、スカイマーク、ソラシドエア、エアドゥで計152機が、羽田/新千歳線のような幹線路線から離島路線など、幅広く活躍しています。2025年以降、さらに最新型となるボーイング737MAXの導入も予定されています。

ニュース画像 3枚目:“空”の「737」 スカイマーク ボーイング737-800型機
“空”の「737」 スカイマーク ボーイング737-800型機

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JR北海道737系の方が、“空”の「737」よりも後発ですが、この一致は偶然の産物です。全国のJRでは、国鉄時代から定められているルールに則り、形式番号を決めています。JR北海道737系の場合も、百の位“7”(=交流電化区間で運行)、十の位“3”(=通勤形種別)、一の位“7”(=奇数で使用可能な番号)、という経緯から、たまたま「737」という形式番号が付与されました。東京や大阪などの都市圏は直流電化区間が多く、“7”で始まる形式が走る路線は、関東近郊では東北本線黒磯以北や、常磐線取手以北などに限られています。今回のJR北海道737系のほかにも、同名はあります。ボーイング社の大型機「787型機」と同じ形式の特急車両「787系」が走るJR九州では、生い立ちや地域特性上、ほとんどが交流区間(形式が一の位“7”)であることから、“7”から始まるボーイング社製航空機の型式と似た形式の車両が多く活躍しています。

ニュース画像 4枚目:787系 2023年05月01日撮影
787系 2023年05月01日撮影

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ニュース画像 5枚目:ANAのボーイング787-8型機
ANAのボーイング787-8型機

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これらを、偶然な“だけ”で片付けてしまうのはもったいないです。綿密な計画や“奇跡”の巡り合わせにより、空と陸を同時に楽しむことができる旅行ができるかもしれません。

JR九州の787系は、特急「リレーかもめ」や、特急にちりん、特急きりしまなどで活躍していますが、1日数往復だけ“普通列車”として運行される運用が設定されています。これは、宮崎駅と宮崎空港駅を結ぶ“普通列車”で、タイミングさえ合えば“空”の「787」に搭乗して宮崎空港へ降り立ち、宮崎空港駅から“陸”の「787」に乗車する乗り継ぎが可能となります。

ニュース画像 6枚目:宮崎空港で実現する“奇跡”の乗り継ぎ  2022年12月25日撮影 JA838A ボーイング787-8 ANA
宮崎空港で実現する“奇跡”の乗り継ぎ  2022年12月25日撮影 JA838A ボーイング787-8 ANA

©FlyTeam navipro787さん

また、JR北海道の737系でも同じような乗り継ぎができます。新千歳空港には日本各地から“空”の「737」が乗り入れています。737系が新千歳空港駅に乗り入れることはありませんが、1992年まで「新千歳空港駅」として機能していた隣の南千歳駅には、札幌〜東室蘭間で運用されている737系に乗ることができます。南千歳〜新千歳空港間は、721系または733系で運行される「快速エアポート」に乗る必要がありますが、ほぼ「737」同士の乗り継ぎが可能です。

“陸”の「737・787」、“空”の「737・787」、どちらも重要な幹線路線から地域密着型のローカル路線で運用され、日本の公共交通を担う存在として今日も全国で活躍しています。綿密な計画と“奇跡”を重ね、二刀流の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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