2023年も残すところあと数日。鉄道業界でもさまざまな話題がある中、今年も静かに姿を消した車両がたくさんありました。定期運行終了や引退など、今年幕を閉じた鉄道車両をピックアップし、その勇姿を振り返りたいと思います。
◾️長野電鉄3500系:1月19日引退
3500系は、営団地下鉄(現 東京メトロ)日比谷線の初代車両である3000系を譲り受け、長野電鉄用に改造した2両編成の車両。1993年から運行を開始し、最大14編成28両が活躍しました。
◾️東急8500系:1月25日引退
8500系は、1975年にデビュー。東急で最多となる400両が製造され、田園都市線のほか、東横線や大井町線でも活躍しました。
◾️名古屋市営地下鉄3000形:2月9日引退
名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)3000形は、1977年に鶴舞線で運行を開始しました。その後、N3000形の導入により順次更新が行われ、約45年が経過した今年引退を迎えました。
◾️都営5300形:2月引退
5300形は1991年、北総開発鉄道との相互直通運転を開始するタイミングで導入。計27編成が製造され、成田空港方面から三崎口方面までを1本で結ぶ列車として活躍しました。2018年に5500形が導入されて順次更新が進み、今年、最後の1編成5320編成の運行終了後にひっそり引退したことが発表され、惜しむ声が多く上がりました。
◾️JR東日本 SL銀河:6月11日引退
「SL銀河」は、東日本大震災からの復興と地域の活性化を目指し2014年4月にデビュー。C58形蒸気機関車239号機(C58 239)の牽引で、4両のキハ141系のエンジン付き旅客車を使用した編成です。6月4日に定期運行を終了し、6月11日にまるで宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をイメージさせるような美しい姿で引退を迎えました。
◾️JR東海キハ85系:7月9日引退
キハ85系は1989年にデビューし、特急「ひだ」・「南紀」として活躍。今年3月18日のダイヤ改正で「ひだ」から運用をはずれ、最後は「南紀」で運用されたのちに引退しました。このうち、4両は京都丹後鉄道へ譲渡され、新たにKTR8500形として第二の人生を送ります。
◾️神戸市営地下鉄1000形、7000系:8月17日引退
神戸市交通局(神戸市営地下鉄)の2形式が同日で引退を迎えました。1000形は1977年から、7000系は1987年に当時の北神急行電鉄7000系として運用を開始しました。7000系は、2020年の北神急行電鉄の市営化に伴い全車両が神戸市交通局の所有に。両形式ともに、約35年から45年という長期間にわたって活躍しました。
◾️JR東日本651系:10月引退
651系は、1989年に常磐線特急の「スーパーひたち」としてデビュー。その後、常磐線にE657系が順次導入され、活躍の場を高崎線に移し、「草津」「スワローあかぎ」「あかぎ」などで運用されました。また、1編成はリゾート観光列車「IZU CRAILE (伊豆クレイル)」として改造し東海道本線や伊東線、伊豆急行線などで活躍しました。
◾️JR西日本 観光列車「奥出雲おろち号」:11月23日引退
JR西日本木次線で活躍した観光列車「奥出雲おろち号」が、11月23日に引退しました。青と白のDE10形ディーゼル機関車(DE10-1161)と12系客車のトロッコ2両(スハフ12-801、スハフ13-801)からなる列車(2023年現在)。1998年4月から運行を開始し、神話の舞台となった山陰・奥出雲の地で約25年間活躍しました。
◾️小田急50000形:12月10日引退
最後は、引退を迎えたばかりの小田急50000形「ロマンスカーVSE」です。2005年にデビューした「Vault Super Express(VSE)」は10両2編成が製造されました。真っ白な車体に特急ロマンスカーが代々継承してきたカラー「バーミリオン・オレンジ」の帯を配したスタイリッシュなデザインは多くのファンを魅了。2022年3月11日に定期運行を終了、その後は団体専用列車として活躍しました。最終運行日には、コースの異なる3つのツアー列車として運行、終着の成城学園前駅では多くの鉄道ファンに迎えられ、18年の歴史に幕を閉じました。
今回取り上げたもののほかにも、各地で引退や定期運用を迎えた車両がありました。時代の流れと共に淘汰されていく車両があれば、来年以降も新型車両がデビューします。これまで活躍した車両の思い出を胸に、来る2024年もまた、あらたな鉄道車両との出会いを楽しみにしながら新年を迎えたいですね。