小田急50000形電車の特急ロマンスカーVSEが、2023年12月10日(日)に引退を迎えました。最終日は、コースの異なる3つのツアー列車として運行、乗車した参加者や沿線にも最後の勇姿を見届けようと多くのファンが詰めかけ、引退を惜しむ姿が見られました。20時前に、終着の成城学園前駅に到着し、18年の歴史に幕を閉じました。
50000形は2005年3月にデビュー、車両の愛称はVault Super Express(VSE)で、「50001」「50002」の2編成が製造されました。富士山に積もった雪のような真っ白な車体に、特急ロマンスカーが代々継承してきた「バーミリオン・オレンジ」カラーの帯を配しました。流線型の車体正面や連接台車を採用した車両は、デザイン性と機能性を高めつつロマンスカーの伝統と魅力をモダンに昇華させた美しいフォルムとして、注目を集めました。
車内は、従来のロマンスカーより、室内高を45センチ高くし、天井はドーム型に、ファブリックも落ち着いたモダンな印象へ変わりました。ロマンスカーの特徴である展望席は、窓枠のない超大型3次元フロントガラスを採用。広々とした空間から眺める車窓は、格別な気分を味わうことができました。
日本の人気観光地箱根へ向かう特急ということもあって、国内外の利用者から人気を博しました。2006年には、第49回ブルーリボン賞を受賞、このほかにも数々の受賞実績があります。
2022年3月11日に定期運行を終了し、団体臨時列車としてツアーやイベント等での運行を継続。今年9月24日に「50002」編成が引退しています。最終日は、海老名駅に直結する「ロマンスカーミュージアム」でツアー列車に手を振ってお見送りする企画も実施されました。
小田急電鉄は引退後のVSEについて、「ロマンスカーミュージアム」での展示に向けた検討を進めていくとしています。