JR西から嫁いだトキ鉄のおいらん車「オヤ31」に潜入!どんな車両?

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トキ鉄のおいらん車「オヤ31形」に潜入!

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車体から、何本も矢のようなものが突き出てているこの不思議な車両、一体なんだかわかりますか?これは、あるものを検測するために登場した鉄道車両「国鉄オヤ31形客車31号車(オヤ31-31)」です。この特殊な車両に会うため、レイルラボ編集部は新潟県上越市のえちごトキめき鉄道(トキ鉄) 直江津駅に隣接するテーマパーク「直江津D51レールパーク」を訪問。貴重な車両内部への潜入取材の様子を紹介します。

オヤ31形客車とは?

建築限界測定用試験車「オヤ31形客車」は、一般の利用者が乗車することのない事業用客車です。「オヤ31形31号車(オヤ31-31)」は、1937年に三等客車「スハフ32」として新製され、1957年に建築限界測定車「オヤ31」に改造されました。1987年の国鉄分割民営化以降はJR西日本に所属、2022年まで網干総合車両所 宮原支所に配置されていました。2022年12月、JR西日本からトキ鉄へ譲渡されることが発表され、2023年1月に到着しました。

ニュース画像 1枚目:京都鉄道博物館に展示された際のオヤ31形 2022年08月01日撮影
京都鉄道博物館に展示された際のオヤ31形 2022年08月01日撮影

©レイルラボ tokadaさん

車体から何本も矢が突き出しているように見える特徴的な外観。これは「矢羽根」と呼ばれるもので、駅舎などの構造物と車体との空間が適切かどうかを検査する役割を果たしています。花魁(おいらん)が身につける「かんざし」にも見えることから別名「おいらん車」とも呼ばれています。

ニュース画像 2枚目:車体から突き出た「矢羽根」で建築限界を測定する仕組み
車体から突き出た「矢羽根」で建築限界を測定する仕組み

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オヤ31形は、これまでに7両が改造されましたが、2024年6月現在、トキ鉄の「オヤ31-31」とJR東海 リニア・鉄道館(愛知県名古屋市)の「オヤ31-12」の2両が展示保存されています。ちなみに国鉄分割民営化時では、5両がJR四国を除く5社へ引き継がれました。

ニュース画像 3枚目:JR東海へ継承されたリニア・鉄道館所蔵のオヤ31形12  2015年03月05日撮影
JR東海へ継承されたリニア・鉄道館所蔵のオヤ31形12 2015年03月05日撮影

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オヤ31形内部に潜入

ニュース画像 4枚目:乗り込む際に邪魔になる「矢羽根」は折りたたんで収納することができます
乗り込む際に邪魔になる「矢羽根」は折りたたんで収納することができます

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「オヤ31-31」は、通常車体のみを展示していて、車内は特別なイベント等以外では入ることができません。今回特別に許可をいただき、車内への立ち入りが許されました。

ニュース画像 5枚目:美しい車内 の「矢羽根」の様子
美しい車内 の「矢羽根」の様子

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入ってすぐに目についたのは、小洒落た作りの間仕切りのような部分。お気づきの方もいるとは思いますが、この部分が車体から突き出た「矢羽根」と連動しています。「矢羽根」は全部で57本あり、車内にはそれを示す表が掲示されていました。また、数字が書かれたランプ式のボタンが設置されています。これは、万が一「矢羽根」が、構造物等に接触した場合、内部まで繋がる部分を通り関連するボタンが点灯する仕組みです。レーザーなどのない時代に、車内で支障物を把握できたことは画期的だったのではないでしょうか。

ニュース画像 6枚目:外の「矢羽根」から繋がっている部分
外の「矢羽根」から繋がっている部分

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ニュース画像 7枚目:矢羽根を示す表
矢羽根を示す表

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ニュース画像 8枚目:構造物等に接触した場合、内部まで繋がる部分を通り関連するボタンが点灯する仕組み
構造物等に接触した場合、内部まで繋がる部分を通り関連するボタンが点灯する仕組み

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さらに車内を探索すると

車内にある座席は、通常のロングシートよりも幅が広い座席のような作りになっています。これは、休憩場所として使用されていたそうで、ここで横になって休んでいたようです。また、石炭ストーブも設置され、ここで暖をとっていました。

ニュース画像 9枚目:少し広めな座席部分
少し広めな座席部分

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ニュース画像 10枚目:当時は石炭ストーブで暖をとっていました
当時は石炭ストーブで暖をとっていました

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柔らかい照明の暖かさやレトロな設備品などの佇まいは、とても美しく、まるで美術館にいるような居心地の良さを感じられました。

ニュース画像 11枚目:オヤ31の備品の表示
オヤ31の備品の表示

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ニュース画像 12枚目:オヤ31の車内
オヤ31の車内

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ニュース画像 13枚目:洗面台
洗面台

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ニュース画像 14枚目:トイレの入り口
トイレの入り口

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「オヤ31-31」を見学するには?

「オヤ31-31」は、トキ鉄のテーマパーク「直江津D51レールパーク」(直江津駅隣接)にて静態保存中。同館が開館している際(不定期で開館)は、扇形庫の外から外観を見ることができます。なお、今後、不定期にて扇形庫の中にヘルメットを装着して入り、車内を見学できるツアーを有料開催するとのことです。

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