2022年もあとわずかとなりました。「鉄道開業150年」を迎えた今年、鉄道業界ではさまざまなトピックがありました。祝福ムードのなか、首都圏の通勤型車両や、新方式の特急型車両など、各地で新たに仲間入りした新型車両が登場しました。1年の締めくくりに、2022年に登場した車両形式をピックアップして紹介します。
■JR東海315系電車
315系は、3月5日に運行を開始しました。JR東海の在来線としては約20年ぶりとなる新型在来線通勤型車両で、中央本線 名古屋〜中津川駅間に投入されています。315系は、新幹線をはじめ鉄道車両を数多く手掛ける日本車輌製造が立ち上げた新ブランド「N-QUALIS」シリーズの第1号車両です。
■京都市交通局20系電車
20系は3月26日に、京都市営地下鉄 烏丸線で運行を開始した6両編成の車両です。車両デザインは市民や利用者の投票により決定。京都の伝統産業素材・技法を活用した「京都ならではの地下鉄に」をコンセプトとしたデザインです。車内の手すりなどには伝統技法の「西陣織」・「京友禅」を使用。また、内装には寺院などの伝統的な建築の装飾に用いられる「釘隠し」や「吊手」を「北山丸太」で製作するなど随所で「京」らしさを感じられます。20系の導入により、40年前の京都市交通局開業当時から使用する10系電車が置き換えられます。
■横浜市交通局4000形電車
4000形は5月2日に、横浜市営地下鉄・ブルーラインで運行を開始しました。みなと街“横浜”らしい「海辺の先進的な都会感」をコンセプトとし、スタイリッシュさとスピード感を感じさせるデザインが特徴的です。2023年までに計8編成を導入し、現行の3000A形電車と置き換えます。
■東京都交通局6500形電車
都営6500形は、5月14日に三田線で運行を開始しました。1993年から使用する6300形以来、22年ぶりとなる新型車両は、直線的な角ばったフォルムが特徴的です。従来の6両編成から8両編成となったことで、輸送力も増強されました。また、営業車として採用第1号となる東洋電機製造の新型パンタグラフが搭載されていることも注目されました。
■JR東海HC85系気動車
新型特急車両HC85系は7月1日に、特急「ひだ」として運行を開始しました。車両は、電力で動く電車方式と、発電用のディーゼルエンジンと蓄電池で電力をまかなうハイブリッド方式を採用。安全性・快適性の向上や環境負荷の低減を図りつつ、この方式の鉄道車両としては国内初の最高速度120km/hでの営業運転を実現しています。また、車内チャイムはチロル民謡の「アルプスの牧場」を使用。曲のアレンジは、“鉄分多め”の音楽デュオ「スギテツ」が担当し、話題となりました。
■大阪メトロ30000A系電車
30000A系は7月22日に、大阪メトロ中央線で運行を開始しました。中央線の新造車両導入は約27年ぶりで、万博開催を見据えた輸送力の増強用車両として導入。2011年に御堂筋線で運行を開始した30000系車両をさらに改良し、バリアフリー化や充実した車内設備を実現しました。車両デザインも明るくポップな印象です。2022年度中に、6両x10編成の計60両を投入する予定です。
以上6形式を紹介しました。コロナ禍の2020年、2021年は、新型車両の出発式やイベントなどが制限され、静かな幕開けとなった車両が目立ちました。今年は久しぶりに大々的なデビューを迎えたことで喜ばしく感じた人も多かったのではないでしょうか？また、さまざまな技術開発が進み、より安全・安心・快適な車両が誕生し、乗車する楽しみも増えました。来たる2023年も鉄道業界がより一層盛り上がることを期待したいです。
