東海道ブルトレ全廃から15年、「あさかぜ」など過渡期の運行体制を振り返る!

ニュース画像:2009年3月に廃止された寝台特急「富士はやぶさ」 2005年12月20日撮影 - 「東海道ブルトレ全廃から15年、「あさかぜ」など過渡期の運行体制を振り返る!」
2009年3月に廃止された寝台特急「富士はやぶさ」 2005年12月20日撮影

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東海道本線から電気機関車による客車牽引の寝台列車(ブルートレイン)が全廃され、2024年で15年の歳月が経過しました。昭和鉄道高校出身のレイルラボ編集者が青春を捧げた、東海道ブルトレ全廃までの過渡期を運行体制や懐かしの写真などと共に振り返ります。

ニュース画像 1枚目:田町車両センターで夜の運行に備えるブルトレ (手前から「あさかぜ」「サンライズ出雲・瀬戸」「はやぶさ」「出雲」)
田町車両センターで夜の運行に備えるブルトレ (手前から「あさかぜ」「サンライズ出雲・瀬戸」「はやぶさ」「出雲」)

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◾️ 2005年3月「あさかぜ」「さくら」廃止
栄光を築いた東海道ブルトレに陰りが見えたのは2005年のこと。ブルートレインの先駆け、また花形であった寝台特急「あさかぜ」の廃止が発表されました。大宮(埼玉県)の鉄道博物館にも展示されている20系客車やEF58形電気機関車など、常に時代の先端をいく設備を備えた車両で運用されていた列車です。国鉄が1956年に運行を開始した頃は東京〜博多間を結んでいましたが、廃止前はすでに東京〜下関間の運行に縮小。牽引機関車はEF66形電気機関車とロビーカーを連結した24系客車で運行していました。

ニュース画像 2枚目:寝台特急「あさかぜ」 EF66形 1997年08月12日撮影
寝台特急「あさかぜ」 EF66形 1997年08月12日撮影

©レイルラボ 丹波篠山さん

ニュース画像 3枚目:「あさかぜ」24系客車 下関駅にて
「あさかぜ」24系客車 下関駅にて

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ニュース画像 4枚目:「あさかぜ」行先方向幕
「あさかぜ」行先方向幕

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ニュース画像 5枚目:乗車券とシャワーカード・カードキー、ロビーカー(スハ25 301)車内の様子
乗車券とシャワーカード・カードキー、ロビーカー(スハ25 301)車内の様子

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寝台特急「さくら」は東京〜長崎間を結び、14系客車と牽引機関車は東京〜下関間がEF66、下関〜門司間EF81形電気機関車、門司〜長崎間をED76形電気機関車が牽引していました。JR九州の車掌が東京まで乗務する、いわゆる“越境乗務”が行われていたことでも有名です。東京〜熊本間を結ぶ寝台特急「はやぶさ」と併結運転が行われ、2005年3月に「さくら」のみが廃止されました。「さくら」は廃止後も九州新幹線の列車名にも引き継がれ、今でも九州を象徴する特別急行としての存在感を示しています。

ニュース画像 6枚目:寝台特急「さくら・はやぶさ」 EF66形 2003年03月27日撮影
寝台特急「さくら・はやぶさ」 EF66形 2003年03月27日撮影

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ニュース画像 7枚目:「さくら」東京駅発車案内と行先方向幕
「さくら」東京駅発車案内と行先方向幕

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◾️ 2005年10月「彗星」廃止
東海道本線の京阪神地区から、山陽本線を経由し九州とを結ぶ寝台特急が多くありました。京都〜南宮崎間を結ぶ寝台特急「彗星」は、2000年から寝台特急「あかつき」と併結運転が行われていましたが、2005年10月で「彗星」のみが廃止。晩年は寝台特急「彗星・あかつき」として、京都〜下関間はEF66と14系客車にて運行されていました。

ニュース画像 8枚目:寝台特急「彗星・あかつき」 EF66形 2005年08月18日撮影
寝台特急「彗星・あかつき」 EF66形 2005年08月18日撮影

©レイルラボ 丹波篠山さん

◾️ 2006年3月「出雲」廃止
今では知名度の高い「サンライズ出雲・瀬戸」ですが、2006年3月までは24系客車(ブルートレイン)による寝台特急「出雲」も東京〜出雲市間で運行されていました。岡山から伯備線に入る「サンライズ出雲」とは異なり、非電化区間を含む山陰本線経由であったため、東京〜京都間はEF65形電気機関車、京都〜出雲市間はDD51形ディーゼル機関車による牽引でした。

ニュース画像 9枚目:寝台特急「出雲」 EF65形 2005年12月24日撮影
寝台特急「出雲」 EF65形 2005年12月24日撮影

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◾️ 2008年3月「なは・あかつき」「銀河」廃止
京都〜熊本間(2004年3月までは西鹿児島まで)にて運行されていた寝台特急「なは」。2005年10月の「彗星」廃止後は、京都〜長崎間を結んでいた寝台特急「あかつき」と併結運転が行われていましたが、両列車ともに2008年3月に廃止。これにより、京阪神地区と九州方面を結ぶブルートレインはすべて無くなりました。

「銀河」は、東京〜大阪間を結ぶ国内に唯一存在していた寝台“急行”列車でした。急行列車のため牽引機関車EF65にヘッドマークは装着されておらず、客車にのみ「銀河」のテールマークを表示。また24系客車の設備も、開放式A寝台と開放式B寝台のみという特殊な編成でした。2008年3月の廃止により、EF65牽引および24系客車による東海道ブルトレの運行、全区間を担当していたJR西日本・大阪車掌区による東京までの“越境乗務”も終了しました。「銀河」の列車名は、2020年からJR西日本で「WEST EXPRESS 銀河」として継承されています。

ニュース画像 10枚目:寝台特急「なは・あかつき」
寝台特急「なは・あかつき」

©レイルラボ かまんきぃさん

ニュース画像 11枚目:EF65 1118 (通称ゲッパ)牽引 寝台急行「銀河」
EF65 1118 (通称ゲッパ)牽引 寝台急行「銀河」

©レイルラボ かまんきぃさん

ニュース画像 12枚目:寝台急行「銀河」 東京駅9番線到着時
寝台急行「銀河」 東京駅9番線到着時

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◾️ 2009年3月「富士・はやぶさ」廃止
いよいよ最後の東海道ブルトレが廃止されました。もともと、東京〜大分間を運行していた寝台特急「富士」と、東京〜熊本間を運行していた寝台特急「はやぶさ」は別々に運行されていましたが、2005年3月に寝台特急「さくら」が廃止されて以降、両列車の併結運行が開始されました。廃止により、EF66牽引および14系客車による東海道ブルトレの運行、またJR西日本・下関乗務員センターによる車掌の“越境乗務”も終了しています。「はやぶさ」の列車名は、2011年からJR東日本・東北新幹線の最速達・最上位列車に継承されています。

ニュース画像 13枚目:寝台特急「富士・はやぶさ」上り最終列車 EF66形 2009年03月13日撮影
寝台特急「富士・はやぶさ」上り最終列車 EF66形 2009年03月13日撮影

©レイルラボ ポン太さん

ニュース画像 14枚目:「富士・はやぶさ」それぞれの行先方向幕
「富士・はやぶさ」それぞれの行先方向幕

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ニュース画像 15枚目:「富士」単独運行時代のヘッドマーク
「富士」単独運行時代のヘッドマーク

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ニュース画像 16枚目:東海道ブルトレでは「朝刊輸送」も行われていました 「富士」東京駅到着時の様子
東海道ブルトレでは「朝刊輸送」も行われていました 「富士」東京駅到着時の様子

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「富士・はやぶさ」が廃止されてから15年経過した現在、コロナ禍もありJR各社を取り巻く経営環境などから定期運行する新型寝台車両の導入には至っていません。電車型(285系)の寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」は、1998年の運行開始から26年が経過。近年では予約が取りづらくなるほど人気を博していますが、夜行バスや航空便の発達、旅行やライフスタイルの変化により、寝台列車の存在価値については改めて検討される段階であると考えます。ひとつ、青春をブルトレに捧げた筆者が言えるのは、いち鉄道ファンの私に与えてくれた“憧れ”や“浪漫”、“将来の夢”、また寝台列車で味わう“非日常感”などは、ブルートレインやサンライズあってのものだったと断言できます。

ニュース画像 17枚目:寝台特急「サンライズ出雲」
寝台特急「サンライズ出雲」

©レイルラボ かまんきぃさん

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