運輸安全委、のぞみ台車亀裂トラブルの報告書公表 過度な研削で亀裂進展

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台車の亀裂の状況

©運輸安全委員会

運輸安全委員会は2019年3月28日(木)に、東海道新幹線の名古屋駅構内で発生した重大インシデントに対する調査報告書を公表しました。

この件は、2017年12月11日(月)、JR西日本のN700系K5編成で運行していた博多発東京行き「のぞみ34号」で発生したもので、JR西日本は走行中に車内で異臭および異音が発生しながらも運行を継続、JR東海区間の名古屋駅に到着時に、車両保守担当社員が異音を認識したことから、車両を点検を実施したところ、13号車に連結していた「785-5005」の前寄りの台車から油漏れを確認したものです。その後、車両基地に移動させる作業を行っていたところ、台車枠の側はりの亀裂が見つかっています。

亀裂は起点側のスポット溶接部近傍において、製造時の溶接施工時に生じた割れがあった可能性が考えられるほか、加工の過程で肉盛溶接を施工したことにより、残留応力が生じていたこと、軸ばね座を取り付ける際に、側ばり下面を過度に研削したことにより、側ばり下板の板厚が薄くなり、板厚が設計上の基準値以下になっていたことが推定されています。作業工程については、台車枠の強度に関わる作業指示が十分認識されないまま行われた可能性も指摘されています。

また、JR西日本の関係者が異音、異臭等を感じながらも、列車の運行を継続した点に関しては、異音、異臭等の発生が不連続で合ったことに加え、指令員と車両保守担当社員の間に、列車の運行継続の判断を、相手に依存してことが挙げられています。指令員は、異常の重大性を理解するための明確な情報が得られず、走行に支障があれば、車両保守担当社員が伝えくると思っていたとし、車両保守担当社員は床下点検実施の判断を指令に委ねていると認識しており、確認作業を行っていませんでした。

さらにJR東海では、異音の報告を受けた際に、車両保守担当社員が列車に乗車し点検を行なった割合が81.4パーセントであったのに対し、JR西日本は4パーセント程度だったことも指摘されています。報告書では、JR西日本に対し、必要に応じて規程の見直しや係員の教育訓練に反映し、安全最優先の意識に基づく行動を定着させることが重要であるとしています。

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